県木住の家づくり県木住の家づくり

木の良さちょっと難しく説明すると

木の感触が心地よく感じられる理由

 木に触ると、金属やガラス、コンクリートに触れた場合と違い暖かさを感じます。人間は常に体の表面から熱を逃がしていて、何かを触った時には、その物体と体の表面との間で熱の移動が起きています。冷たく感じるのは熱の逃げ方が早く大きい場合で、熱の移動がゆっくりで小さいと暖かく感じます。
 木材はコンクリートや鋼材に比べると、熱を伝えにくい材料です。これはどういうことかと言うと、表面に空気をたくさん含んでいることが大きな要因としてあげられます。空気が断熱層になり、熱を伝えにくくしているのです。例えば、板ガラスとグラスウールは同じ素材ですが、空気を含むかどうかで、同じ温度でも感じる冷たさは全く違います。同じ理由から、ナラやカシのように堅くて重い木材よりも、ヒバやスギのような比重の小さい軽く柔らかい木材の方が暖かく感じられるのです。
 では、発泡スチロールやビニール、プラスチックを触った時の感触と木の感触を比べてみるとどうでしょう。どれも暖かく感じるはずです。しかし、個人差はあるでしょうが、木の方が心地良く感じられるのではないでしょうか?人間の体は、熱と同時に湿気も常に放出しています。発泡スチロールやプラスチックは手から発散する湿気を吸い取らない為、木を触った時よりベタつきを感じます。物を触った時に感じる快・不快は、手から瞬時に移動する水分の量によっても左右されるのです。

木の色が暖かく感じられるのは

 私たち人間は、その物が反射する光の波長によって様々な色に見えます。人間はだいたい380~780ナノメートルの範囲内で色として見えます。380ナノメートル以下の赤外線と780ナノメートル以上の赤外線は目には見えないが感じることはできるのだそうです。 木材の色は樹種によって様々ですが、黄色や赤系統の暖色が多く、青い木材は天然では存在しません。これは、木材が短い波長は吸収し、長い波長は反射するからです。
 木が短い波長を吸収することは、目に見える色に限らず、人体に影響を与えるそうです。というのは、過剰に浴びると皮膚や目にダメージを与えてしまう紫外線を反射するからです。最近では、オゾン層の減少に伴って、地上に届く太陽の紫外線の量が増大し、健康被害が懸念されています。
 日当たりの良い南側の部屋の内装材に木材を使用して反射を抑えることは、とても理にかなっていると言えるでしょう。

木が心地良い理由

 木材が見た目に心地よく、安らぎを感じるのにはいくつか理由があります。一つは適度な光沢はあるが、眩しく感じないということです。木の細胞にはとても小さな凹凸があって、木の繊維に平行に光が当たると、ほとんどは正反射(鏡面反射)し、直角に光が当たると細胞側壁で光が散乱されます。このような光の反射の仕方によって、綺麗にカンナを掛けたスギやヒバ材のように、美しい独特の光沢がでたり、凹凸が正反射を和らげて眩しさを軽減してくれたりするのです。
 もう一つの心地良さの要因は、木目の揺らぎです。樹木の年輪幅は一定ではありません。柾目のような、いくらキレイな平行線上の木目であったとしても、定規で線を引いた、しま模様とは違い、揺らぎがあります。この揺らぎが人間の脳にどのような働き掛けをするのか、まだハッキリ解明はされていません。しかし、自然がつくり出す、規則的だが揺らぎのあるパターンが、人間の目に心地良い印象を与えることは、一般常識的に考えても容易に理解できるでしょう。

人工的なストライプ スギ柾目
人工的なストライプ スギ柾目

植物の匂いの快適性

 樹種によって匂いに違いがあるのは、匂いの成分や量が少しずつ違うからです。ヒバやヒノキ、マツはピネンやリモネン、モノテルペンが、クスノキはカンファーが主な匂いの成分です。 しかし、どのような木でも匂いの成分は単一ではなく、一つの木には50種類以上の成分が含まれ、それらが混ざり合うことで匂いが決まります。
 例えば、クスノキやスギのように好ましく感じる人が多い匂いもあれば、トドマツやカヤのように好き嫌いが分かれる匂いもあります。トドマツは腐ったような匂いと言われることがある一方で、かまぼこの板に使われたりします。また、米ヒバはヒノキ科でありながら、匂いが強い為にヒノキとは呼ばれずヒバと呼ばれています。青森ヒバの製材所の方から「九州に納品したら、シンナー臭いとクレームになった」という話を聞いたこともあります。匂いの感じ方は主観的で人によって千差万別ですから、一概にどの樹種の匂いが良いとは言い切れません。
植物が発する匂いは、虫にとっては毒ですが、人間を含む動物には好影響を与えます。ヒノキとトドマツの匂いがマウスの運動量に及ぼす影響を調べたところ、森林大気中に近い濃度で運動量が最も活発になったそうです。ヒノキでは無臭の場合に比べて1.78倍、トドマツでは2.71倍の増大になるそうです。また、木の匂いがする場所でラットを眠らせると、心地良く眠っている時に、脳波に現れるα波が平均20~30%も増加したという報告があります。

生存競争が作り出す色と匂い

 木材には、色の薄い辺材部分と、色の濃い心材部分があって、それぞれ役割が異なります。樹皮のすぐ下には分裂できる細胞が有り、1個の細胞が2個に分裂すると、その一つは更に分裂して、もう一方は分裂機能を失ってそこに残されます。その繰り返しで木は生長していきます。
  樹皮に近い辺材の役割は、水分や養分を運んだり、養分を貯蔵することです。何年か経つと、辺材の細胞も変化して心材になります。心材は、水を吸い上げるなどの機能を終えた、死んだ細胞の集まりです。しかし、心材になると木は耐久性を増し、腐朽菌などの微生物を寄せ付けなくなります。
 なぜこのような性質になるかというと、樹木が生命を維持し生長していく為には、高く伸び、枝を大きく広げて日光をたくさん取り込む必要があるからです。その為には、骨格がしっかりしていなければなりません。
 辺材の部分は、樹種による色や性質に大きな違いはありません。樹木が個性を発揮するのは心材になってからなのです。辺材の細胞が心材に姿を変える時、辺材の中に残された分裂細胞の一方が興味深い活動を始めます。酵素の活動によって微生物に対して毒性の強い物質を細胞内に沈着させます。つまり、心材の濃い色とは、木の細胞が毒性を持つように変化した結果なのです。樹種による色の違いは、酵素活動でつくり出された物質の違いによって生じます。木材の色が濃い・薄いからと言って、木材の強弱にはつながりません。
 森林浴にはリフレッシュ効果があると言われますが、森の中には[フィトンチッド]と呼ばれる清々しい匂いに満ちています。このフィトンチッドも、じつは植物が動物から身を守る為に発している物質なのです。例えば、クスノキから取れる樟脳(しょうのう)は防虫剤になり、ヒバがシロアリの食害を受けやすい建物の土台に使われているのは、これらの植物が持っている、虫を殺したり、寄せ付けない匂いの成分を人間が利用しているのです。
 フィトンチッドとは、ロシア語で「木を殺す」という意味です。というのは、テリトリーを拡大しようとする植物が、他の植物の生長を阻害する為に分泌さる物質でもあるからです。ヒバ林には他の木が自生しにくいというのもこの影響かもしれません。 フィトンチッドは虫から身を守る為だけではなく、生存競争の攻撃にも使われる武器なのです。

湿気を引き寄せる木の組織

 「木材は呼吸するから調湿性に優れている」といった言われ方をよくします。呼吸とはあまり正確な表現ではありませんが、確かに湿度の高い環境ではよく吸湿し、湿度が下がると今度は逆に放出します。どんな材料でもこのような性質を持っているのですが、木は特に湿気を吸い込む能力が高いと言えるでしょう。10cm角で長さ3mの針葉樹の柱は、相対湿度(ある湿度下で空気が含み得る最大の水蒸気量に対する実際の水蒸気量)が40%から80%まで変化すると、この針葉樹一本で2リットルの湿気を吸収すると言われています。
 木がなぜ吸放出性に優れているかというと、主な成分であるセルロースやヘミセルロースの中に、水分子を引き付ける水酸基があるからです。湿度が高いと水酸基と水分子とが結合し、湿度が低いと離れていきます。このような性質によって、空気中の水蒸気量を調整する働きをするのです。水酸基の量は、どのような樹種の木でも大差はありません。
 ある材料の吸放出能力の大きさは、どれだけ湿気を吸えるか(湿気容量)と湿気を吸着する速度(湿気浸透率)によって決まります。木材の場合、容量は大きいのですが、湿気浸透率は板面と木口面で大きく異なり、木口面からの方が湿気を早く吸い込みます。


補助ナビゲーション
前のページ
ページ先頭
ホーム