住宅販売の手法としてオール電化住宅を奨めることを紙面でキャンペーンしています。先ず始めに言いたいことは、オール電化住宅は元々住宅会社が他社との差別化や、電力会社からの様々な特典を目的として取り入れたものであって、住まい手のことを考えてではないということです。売れて会社が儲ければ何でも良いのです。
電化住宅と言えば、まず給湯用の電気温水器、調理用のIHヒーター、電気蓄熱暖房などを設備した住宅でしょう。それらの設備の長所として、まず安全なこと、操作が単純なこと、住まいが汚れないこと、温水器はイニシャルコストが安いことなどが言われています。更には、環境にやさしいようなことまで言われることがあります。
私たちはエネルギーを考える時、電気エネルギーはもっと考えて使うべきだと常々思っています。確かに前述の電気設備はこれからの高齢化社会に向けての安全を考える時、非常に良いものですからそれを否定はしません。でもその安全性と深夜電力の経済性を過大評価し過ぎです。確かに電気温水器でお湯を沸かしたり、IHヒーターで炊事をしたり、電気で暖房しても、見える所で石油やガスを燃やすことはないので、炭酸ガスや煙がでません。そのため一見電気は環境にやさしいエネルギーに見えます。
でも本当は逆です。現実の電気エネルギーはその殆どが、ガスや石油を燃やすか、あるいは現在の科学では処理できない廃棄物を出して発電しています。そして各家庭に配電されるまでを計算すると効率は35~40%です。遠くからの送電ロスに加え、発電時の廃熱を有効利用していないからです。家庭用灯油ボイラーは90%近い効率ですから足元にも及びません。これだけでも環境に優しくないことがわかります。
更に電気は私たちの生活の中で何でも出来る万能エネルギーです。TVも見れる、パソコンも動く、照明にもなる、動力にもなるなど、何でも出来る非常に貴重なエネルギーです。こんな貴重で、そして効率が悪く、多くの廃棄物を出してやっと作ったエネルギーで、高々40℃のお湯や、25℃の空気を作ったり100℃のお湯で炊事をするという無駄を、住宅を売らんが為に奨めるのはどうかと思います。私たちは決して電気温水器やIHヒーターが全部駄目だとは言うつもりはもうとうありません。始めに言ったように、これからの高齢化社会での安全面での電気の役目は重要です。その上で環境とか特性とかを考えたエネルギーの使い分けをするべきだと言いたいのです。 また電力の生産には原子力発電が不可欠で、オール電化で暮らす以上これらの事に無責任・無関心ではいられません。またIHヒーターから出る電磁波に関する安全性もいまだ確かなものはなく、今後も研究を要します。
深夜電力使用について、電気料金は確かに安く設定されています。でもそれは、真夏のピーク時の電力需要にあわせるための電力会社の涙ぐましい設備投資の結果であり、安い分は昼間の電気料金に反映されていることも忘れてはなりません。ただ余っているから安いから使おうではなく、余るのも少なくする社会的システムの形成や、真夏のピーク時の生活の仕方などを提案したいものです。
もし地球で活動し、地域の次の世代まで考えた家づくりを目指すなら、売らんが為に安易にオール電化などを奨めず、もっと環境を考えた家づくりと住まい方を提案したいものです。いずれにしても、エネルギーに限らずですが、利点・欠点、両方の説明をちゃんと受けて、建て主様ご自身が決定することがとても大事です。
皆さん『オール電化住宅=高断熱・高気密→高性能住宅』と勘違いしていないでしょうか? 実はオール電化の場合、深夜電力により蓄熱し、その貯めた熱で日中賄わなければならないという関係上、高断熱・高気密住宅じゃないと成立しないのです。同じ性能の住宅であれば、家庭用灯油ボイラーを使用した方が、遥かにローコストで環境にも優しいのです。灯油価格の上昇は気になりますが灯油価格が上がれば電気料金も高くなるのです。 現在は深夜電力料金をとても安く設定していますので、不便ではありますが一見ランニングコストは安く思えます。これは日中普通に電気を使っている方々が高い料金で負担してくれているだけなのです。